みわの神杉
『万葉集』には神杉を歌った和歌が何首か収められており、三輪山の神杉が神聖で犯すべからざるものとして意識されていました。ちなみに『万葉集』(712番)に「味酒(うまさけ)を 三輪の祝(はふり)が いはふ杉 手触れし罪か 君に逢ひがたき」とあり、これは「三輪の神杉に触れるというタブーを犯したために恋しい人に逢えない」というものです。
また『古今和歌集』には「我が庵(いほ)は 三輪の山もと 恋しくば とぶらひ来ませ 杉たてる門」という詠み人しらずの歌が収めら、清少納言の『枕草子』でも「杉のみ社はしるしやあらんとをかし」と評されて、三輪山の木といえば杉であり、「杉の社」として大神神社は有名であったことがわかります。
現在も、境内には「巳の神杉」などの杉の大木がそびえ立ち、「衣掛けの杉」や「しるしの杉」など杉の巨樹の切り株が保存されています。